くちとは

大きく口をあけた時に見える口の中をいい、入口は上下の唇からなっています。
口腔には、舌、口腔底(舌と歯茎の間)、歯茎、頬粘膜(ほほの内側)、硬口蓋(口の天井)にわけられます。口腔の機能は摂食・嚥下・咀嚼・発音・構音機能を備えています。以下のような症状がある際には当院にご相談ください。

こんな症状の方はご受診ください

  • 唇になにかできている
  • 舌になにかできている
  • 舌の色がおかしい
  • 舌がいたい
  • 口内炎がよくできる
  • 口腔内が乾燥しやすい
  • 味覚がおかしい
  • 滑舌がわるい

当科で扱う主な疾患

小唾液腺嚢胞(粘液嚢胞)

口の粘膜を咬んだり、異物が刺さることなどにより、唾液が出てくる管が閉塞して唾液が貯まったりすることによって生じる良性腫瘍(嚢胞)です。下唇や舌下面に多くみられます。

検査・診断・治療

摘出が第一選択ですが、原因となっている唾液腺も同時に摘出する必要があります。

舌痛症

舌痛症とは、舌がぴりぴりと痛い、といった症状があるにもかかわらず、痛みを引き起こすような原因を特定できない状態を指します。ときに心因性のストレスから舌痛が生じることもあります。痛みは慢性的に持続するため、日常生活の質が低下することもあります。

検査・診断・治療

舌炎やアフタ性口内炎などの口腔粘膜疾患や、義歯、不良補綴物による障害、口腔乾燥症、口腔カンジダ症、舌癌を検索し、血液検査や口腔内の細菌培養検査により、鉄欠乏性貧血やビタミン欠乏、亜鉛欠乏、カンジダ症の有無を確認します。これらの検査から舌の痛みを生じる原因が判明しない場合には、舌痛症と診断します。原因に合わせた内服治療や生活指導を行います。

アフタ性口内炎

いわゆる口内炎です。小さく丸く浅い潰瘍が口腔内にできているものを指します。2種間以上治らない場合やくりかえす場合は注意が必要です。

検査・診断・治療

通常、軟膏やうがい薬などで改善しますが、繰り返す場合や改善に乏しい場合は原因検索のため血液検査などを施行する場合もあります。

舌腫瘍・舌白板症・舌癌

舌がんは口の中にできる「口腔がん」の一種で、口腔がんの患者数はがん全体でみると1%程度の割合ですが、日本だけでなく世界的に罹患率や死亡率が高まっています。舌がんの発症リスクを高める要因としては、飲酒・喫煙などの生活習慣や、虫歯・合わない歯の詰め物、口の中の不衛生などが原因といわれています。口の中の粘膜の一部が白くなる「白板症」や赤くなる「紅板症」という状態は、およそ10%の確率でがん化するといわれています。

検査・治療・診断

なかなか治らない口内炎がある、舌に痛みや違和感がある、舌の一部が白い・赤いなど、気になる症状があれば、当院を受診してくだい。舌がんが疑われる場合は、速やかに然るべき医療機関へご紹介させていただきます。

口腔乾燥症

唾液の量が少なくなり、口の中が乾燥しやすくなった状態で、糖尿病や薬の副作用、シェーグレン症候群などの膠原病、加齢、過去の放射線治療などが原因として挙げられます。症状としては食べ物や飲み物が飲み込みにくい、味覚障害、口の中のねばつき、口臭、虫歯ができやすいなどがあります。

検査・診断・治療

唾液の量を測定し、常用薬の確認をした上で血液検査などを行い、内服治療や生活指導を行います。

味覚障害

味覚障害は、味がまるでわからなくなったり、味覚が鈍磨したり、本来の味とは違った妙な味に感じたりする状態です。口の中が苦い、塩辛いなどの異常味覚を覚えるケースもあります。亜鉛不足、内服薬の副作用、感冒後(新型コロナウイルス)、心因性などが原因として挙げられます。

検査・診断・治療

詳細な問診、原因検索のための血液検査や常用薬の確認などを行ったのちに内服薬や生活指導などを行います。

舌小帯短縮症

舌小帯とは、舌の下面から下顎前歯部下部の舌側粘膜にかけて繋がっているひだ状の構造物です。舌小帯短縮症は舌の運動制限に起因した症状が出現します。乳児期には哺乳障害、幼児期から学童期には発音障害(とくにサ行・タ行・ラ行・)を生じます。

検査・診断・治療

舌小帯短縮症かどうかは、舌を伸展させた際の状態を観察して診断します。舌を伸展させたときに舌の先がハート型になっていれば舌小帯短縮症の疑いがあります。軽度であれば舌運動指導にとどまりますが、重度であれば舌小帯を切断する手術が必要になることもあります。