めまいについて

平衡感覚は耳(内耳)と目(視覚)、体(足の裏からの体性感覚)からの3つの情報を小脳で統合することにより司られています。めまいの原因は様々です。内耳が障害されることで起こることもあれば、精神的なストレスやウイルス感染などが引き金となって起きるケースもあります。また、何らかの原因によって脳の血流が不足してしまい、めまい症状が出現することもあります。
めまいには、主に回転性、浮動性、立ちくらみの3タイプがあります。このうち回転性めまいは、グルグルと目が回るようなタイプであり、内耳の異常などによって起こります。動揺性めまいは、フワフワ、フラフラといった感覚におそわれるタイプであり、脳の異常などが原因となります。このほか、立ちくらみのようなめまいを感じる場合は、血圧の変動などによる循環器系の異常が考えられます。当院では、純音聴力検査で聴力低下の有無を確認したのちに、赤外線CCDカメラを用いた眼振検査重心動揺計を用いためまいの検査、血圧の検査などを行い、原因を検索します。まずはお気軽にご相談ください。

当科で扱う主な疾患

メニエール病

めまいの原因疾患には様々なものがありますが、耳鼻咽喉科領域でよく扱うめまいは「メニエール病」です。耳の奥の内耳に内リンパ水腫という異常が起こり、めまいや耳鳴り、難聴などの症状が現れます。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。しばらくすると症状が落ち着きますが、再びめまいを繰り返してしまうので、QOL(日常生活の質)が低下します。年齢的には30~50歳代に多い病気です。メニエール病になる原因は様々ですが、ストレスなど、精神的な要因が深く関わっていると考えられています。ある期間をおいて、再びめまいや耳鳴り、難聴発作を繰り返すのが特徴です。

検査・診断・治療

内リンパ水腫という病態を改善させるための内服薬や漢方薬を処方いたします。必要と判断した場合はステロイド薬を処方することもあります。ストレスや過労が原因と考えられる場合は生活環境の整備・指導を行います。

良性発作性頭位めまい症(BPPV)

良性発作性頭位めまい症は、特定の頭の位置が変化することで引き起こされるタイプの疾患です。寝返りを打つ、寝た状態から急に起き上がるなどの動作が引き金となって発症します。こうした動作により、内耳にある耳石器に支障をきたしてしまい、目がグルグル回る感覚、恐怖感、不安感、吐き気などの症状が出ます。なお、聴覚の異常はあまりみられません。耳が原因のめまいでは最も発症数が多い病気です。

検査・診断・治療

急性期は抗めまい薬や吐き気止めを処方します。慢性期はリハビリが重要になります。

前庭神経炎

前庭神経炎は、平衡感覚をつかさどる前庭神経がウイルスに感染するなどして発症します。これに伴い、突発的に周囲がぐるぐる回転するような激しいめまいが起こります。患者様によっては、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。

検査・診断・治療

急性期は抗めまい薬や吐き気止めを処方します。症状が強い場合は、ステロイド薬や点滴治療が必要になる場合もあります。

持続性知覚性姿勢誘発(PPPD)

持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)は2017年に提唱された新しい概念のめまいです。急なめまいを発症後、急性期症状は改善したにも関わらず、ふわふらした感覚が3ヵ月以上にわたって続く病気です。慢性めまいの約40%がPPPDと言われています。耳の病気によるめまいではなく、臓器には何も異常は無いにもかかわらず自覚症状だけがある病態と考えられています。症状は、3カ月上続く浮動感、不安定感、非回転性めまいで、これらの症状が、立ったり歩いたり、乗り物に乗ったり、視覚情報によって悪化します。
PPPDの原因は、先行するめまいが治った後も、身体が目や体からの微細な刺激に対して脳が過剰に適応することにより起こると考えられています。

検査・診断・治療

急性期のめまいで使用する抗めまい薬や血流改善剤、ビタミン剤などはあまり効果がなく、治療方法が確立してないため、抗うつ薬や漢方治療、リハビリなどをご案内いたします。

突発性難聴

こちらをご覧ください